なぜ介護職は収入が低いのか?

これからの介護業界を考える

介護職の収入

介護職員の平均給与

「介護業界は給与が低い」という話をよく聞きますが、平均給与はどれくらいなのでしょうか。厚生労働省のデータを参考に見ていきましょう。介護業界は働き方によって「時給」「日給」「月給」と給与形態もさまざまです。
「時給」は実際に働いた時間がそのまま給与となるため、平均時給が1,201円と金額自体が同じであっても、正社員の場合は月給19万1,890円なのに対し、パートの場合は9万0,450円と勤務時間で大きな差がつきます。「日給」も時給と同じように1日の日給が9,935円と同じ金額であっても正社員は20万5,660円、パートは13万9,460円と勤務日数で大きな差がつきます。
「月給」も正社員とパートでは差がありますが正社員には手当やボーナスなども含まれるため平均給与額は27万6,940円と一番高い給与額となります。

介護職員の平均給与

保有している資格でも異なる

介護の仕事は保有している資格でできることとできないことの範囲が異なるため、資格があるかどうかで給与も大きく変わってきます。たとえば、資格がない介護職員が正社員で働いている場合の平均給与は27万6,940円ですが、介護福祉士は33万3,380円と資格を持っている分、より高い給与を得ることができます。

一番給与が高い施設形態は

介護施設と一言でいっても、「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「訪問介護事業所」「通所介護事業所」「認知症対応型共同生活介護事業所」の6つに分類され、提供している介護サービスの内容もそれぞれ異なります。仕事内容が違えば、当然、給与も異なります。各施設の平均給与(月給)を見てみると、

  • ・介護老人福祉施設 30万2,680円
  • ・介護老人保健施設 29万1,300円
  • ・介護料型医療保険施設 26万3,800円
  • ・訪問介護事業所 26万4,680円
  • ・通所介護事業所 25万3,230円
  • ・認知症対応型共同生活介護事業所 24万3,380円

と、大きな差がついており、一番給与が高いのは介護老人福祉施設でした。ですが、日給や時給に換算すると最も平均給与が高いのは介護療養型医療施設(日給1万2,681円)と訪問介護事業所(時給1,438円)となり、施設形態だけでなく勤務スタイルでも違いがあることが分かりました。

他の職業と比べてみると

本当に介護業界は給与が低いのか他の職種と比較してみましょう。
「労働省編職業分類」によると、現在登録されている職業名は約28275種といわれていますが、年収をランキング化したデータを見てみると、介護業界の中で一番高いのは第92位のケアマネジャーで約370万円、次が第114位のホームヘルパーで約304万円でした。同じサービス業界で比べてみても、歯科衛生士が約353万円、美容師が約286万円と介護職よりも低い給与の職種もあり、「介護業界だから給与が低い」といい切ることはできません。

なぜ給与が低いのか

それなのに、なぜ介護業界は給与が低いと思われているのでしょうか。それは、一般的な介護職員の給与が低いからです。介護職員の給与は介護報酬を財源としていますが、介護報酬の額は公的に決められているため自由に額を増やすことはできません。決められた額の中から人件費や経費を捻出しなければなりませんが、その中でも特に大きな割合を占めているのが人件費です。介護施設では6~7割ほど、訪問介護では9割ほどが人件費にかかるといわれています。人件費以外のコストを削減したり効率的に介護サービスを提供したりすれば人件費の割合が増えるため職員の給与を高くすることができますが、なかなかうまくいかずむしろ職員の給料を圧迫しているのが現状です。

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