高齢化社会に伴う介護問題について

これからの介護業界を考える

高齢化社会とその背景

高齢化社会とは

65歳以上の割合が【高齢者人口÷総人口×100】の式で求めたときに全人口の21%以上を占めている社会のことを高齢化社会といいます。高齢化率は発展途上国よりも先進国の方が高くなる傾向があり、日本をはじめアメリカやスウェーデン、ドイツやフランス、イギリスなどが高齢化率が高い国として挙げられています。

高齢化社会とは

高齢化社会の問題

現在の日本では、高齢者が急速に増加したことで従来の医療制度や老人保健ではカバーしきれない問題が生じています。人口比率が変われば疾病構造も変わりますし、高齢者が増えるということは要介護者の数も増えるということなので、医療だけでなく介護の問題も浮上してきます。また、以前と比べて家族制度も変化しています。核家族だけでなく単身の独居者も多くなっているため、一人暮らしで介護してくれる人がいなかったり、高齢者が高齢者を介護する老々介護が増えたり、といったように在宅で介護を受けるのが難しくなっている状態です。このことから、今後は在宅で介護を受けるのか、それとも施設で生活するのかを選ぶのが重要な選択となるでしょう。

2060年には2.5人に一人が高齢者に

「平成30年度版高齢社会白書」によると、平成29年10月1日時点での高齢者の割合は27.7%です。この割合は2025年には30.0%、2040年には35.3%、2065年には38.4%、と少子化の影響もあり今後も上昇していくとみられています。
高齢者が増加していく背景にあるのは少子化だけではありません。団塊の世代や団塊ジュニアと呼ばれる世代が65歳以上の年代を迎えて高齢者が一気に増えることも大きく関係しています。

老々介護が増える

家族の形が変わってきている今、高齢者の一人暮らし世帯や夫婦のみの世帯、兄弟のみの世帯はそれほど珍しいことではありません。中には親子だけど子どもも高齢者と呼ばれる年代の世帯もあります。このような世帯が増えてくると、必然的に高齢者が高齢者を介護する「老々介護」も増えてきますが、老々介護が増加した背景にあるのは親と子どもが別々に住む核家族化が進んだことや医療の進歩による長寿化だといわれています。
医療の進歩で平均寿命が延びている一方で元気に自立して過ごせる期間、つまり健康寿命は平均寿命ほど長寿ではないため大きな差が開いています。平成25年度の簡易生命表によると、男性の平均寿命は80歳、女性の平均寿命は86歳ですが、健康寿命は男性が71歳、女性が74歳とそれほど差はありませんが、平均寿命の長さが違うため単純に計算しても男性は72歳から80歳の人が、女性は75歳から86歳の人が介護を必要としていることになります。そのため、核家族化がすすむと夫婦のどちらかに介護が必要になった場合、もう一人が介護をしなければならず、仮に子どもと一緒に暮らしていたとしても子ども自身の年齢が高齢と呼ばれる年代になっている可能性もあるため、高齢者が高齢者を介護するという老々介護になることは避けられません。

認認介護になる可能性も

介護する側と介護される側、どちらも認知症を発症している状況で介護をすることを認認介護といいます。認認介護も老々介護同様、介護を必要とする高齢者が増えたことで介護をする側がますます少なくなり、軽い認知症の人が重い認知症の人を介護するという状況も増える可能性があります。

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